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【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第3章 死ぬということ




「ミコト。お前は俺の世界で一番可愛い妹だからな」


あの夜、久しぶりにお兄ちゃんと同じベッドで眠った夜
そう言ったお兄ちゃんの声が頭に残ってる。


「嘘だ…」


ポツリとこぼしたわたしの肩を、お姉ちゃんが抱いた。


「ミコト…」


抱きしめてくれる姉の服を掴みながら、わたしの叫び声にも似た泣き声が、部屋中に響き渡る。


「もう会えないなんて…嘘だよ!
やだ!お兄ちゃん!!
いやぁあ!!」


ドンドンとお姉ちゃんの身体を叩きながら、泣き喚くわたしを、お姉ちゃんはただそれを受け止めて髪を撫でる。


「私だって、嫌だよ」


そう溢した姉の涙を、わたしはこの時初めて見た。
19年間一度も見たことなかった姉の涙を、初めて。

2人でたくさん泣いて、泣いて、なのに涙は枯れなくて、一生分の涙をここで溢したような気がした。


その時


霊安室の扉がガラッと開いた。


姉の胸に顔を埋めてたわたしは、誰が来たのかわからなかったけど、その人を見た姉が名前呼んだ。


「陣平」


「…萩原…」


陣平くんのこんな声、初めて聞いた。

コツ…コツ…と陣平くんの足音が近づいてくる。

そして、ベッドの前で止まった。


「…何やってんだよ…萩原ァ」


絞り出すようにそれだけ言って、何も話さなくなった。


陣平くんの泣いてる顔を見たくなかった。
お兄ちゃんがいなくなった現実が、より明白になりそうだったから、わたしはお姉ちゃんの胸に顔を埋めたまま、ひたすら泣いた。


この日
わたしはこの世で1番親しい人を亡くした。



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