第22章 ゲレンデに溶ける恋 ☆
乗り場に着くと、リフト乗り場のおっさんが初心者丸出しのミコトに優しくリフトの乗り方を教えてくれた。
「自動で回ってくるから、腰を下ろして座るだけで大丈夫。
あとは勝手に頂上まで連れてってくれるからね」
「こ、これ降りる時はどうすればいいんですか?」
「降りる時は、始めは100%転ぶけど、まあ頑張って」
「おじさん!!
アドバイスになってないです!!!!」
「ウルセェな。ほら、来たぜ」
わーわーと喚くミコトの手を取り、俺は回ってきたリフト目掛けて腰を下ろした。
ミコトも見よう見まねで腰を下ろし、なんとかリフトに乗る課題はクリアだ。
「降りる時も手繋いでて?」
「バカ。危ねぇだろ?俺まで転ぶじゃねぇか」
「わたし1人で転ぶのはいいの?!」
「最初はみんな転ぶんだよ」
そんな言い合いをしていると、早いものでいつの間にか頂上に到着しようとしている。
「ほら、もうすぐ降りるぞ」
「え!なに?!どうすればいいの?!」
「せーので立ち上がるぞ。
…せーの」
俺の合図で慌てて立ち上がったミコト。
そのまま前にボードで滑りながらも、バランスを崩して結局転倒。
ドテッ
「いったああ!!!」
思い切り尻餅をついたミコト。
俺はと言うと、その隣を悠々と滑り抜けた。
そんな俺を、転んだままのミコトはじろ…と睨む。
「陣平くん、自分が滑れるからって、わたしのことバカにしてる!」
「してねえって!」
してるもん。と、顔を膨らすミコト。
久しぶりに見たな。ワガママな萩原家のお姫様。
プッと笑いながら、俺はミコトの頭をぽんぽんと撫でた。