第22章 ゲレンデに溶ける恋 ☆
そう思っていると、アユはずいっとわたしへ顔を近づけながら言う。
「甘い!旅行でしょ?!いつもと違う場所でするんでしょ?!」
「…まあ、いつも陣平くんの家だから…」
「特別な思い出じゃない!
だったらドキドキさせる下着買っていかなきゃ♪
ほら、これとか!」
そう言ってアユがとったのは一見白の清楚そうな下着。
「…待って、よく見ると両端ヒモじゃん!」
「解いて脱がせてもらいな♪」
「いやいや!スノボしてる間に解けたらどうすんのよ!」
「その時は人目を盗んで結んで貰えば良いじゃない♡」
「…アユ、ちょっとオヤジくさい…」
「ってことで、これは私からのプレゼントって事で買ってあげる!」
「えっ!?!ちょ、ちょっ」
アユは有無を言わさず、わたしのサイズの商品をすかさず手に取ると、レジに直行。
しばらくして戻ってきたアユは満面の笑みでわたしにそれを渡した。
「反応、聞かせてね!!」
「…はい…」
アユの親切なのか強引なのかわからないこの性格は実は結構好きだったりする。
わたしは優柔不断で、うじうじ悩むことが多いから、竹を割ったような性格のアユといると楽だ。
またもや攻めた下着を見た時の陣平くんの反応をアユに報告すると言うミッションが、この旅行中に課せられたのだった。