第21章 酔っ払った萩原妹 ☆
あぁもう。
好きって言えばいいんだろ?
そう思いながらミコトの肩を掴んでじっと目を見て、好きだと言おうとした時、ハッと周りの視線が刺さるのを感じた。
横目で周りを見渡すと、ミコトと一緒に飲んでいた仲間たちが固唾を飲んで俺の「好き」を見守っている。
勘弁してくれよ…
何の公開処刑だよ…
そう思いながらも、ミコトは俺が好きだと言うまで動こうとしない。
おかしい。
さっきまで怒っていたのは俺のはずなのに、どうして逆に俺が攻められてんだ?!
色々考えてはみたものの、俺の今の状態は眠さMAXを振り切っている。
1秒でも早く帰って寝たい。
そんな睡眠欲が俺の羞恥心を溶かした。
「ミコト。好きだぜ?」
「…陣平くん、わたしもだいしゅき!!!」
俺の好きを聞いた途端、ミコトは途端にぱあっと笑顔になり俺の身体にぎゅーっと抱きついてきた。
そして周りのギャラリーからは、おおー!という歓声と共に拍手が上がる。
「…ようやく帰れる」
思わずそう溢しながら、俺はミコトを抱き上げて荷物を持った。
「気をつけてね!ミコトー!
陣平さん、よろしくお願いします。」
ミコトの友人が店の外まで見送ってくれ、タクシーを拾った俺は、ミコトをあやしながら家に戻った。