第21章 酔っ払った萩原妹 ☆
そんな顔、こんな大勢の前で見せるなよ…
無差別に異性を落とすところ、兄貴譲りだな…
そう思いながら、ミコトの顔を隠すようにして抱き上げようとする俺。
「ほら、帰るぞ」
「やだあ!まだ飲む!」
そう言ってミコトは抱き上げようとする俺からパッと身体を離すと、隣にいるプリンス新出の身体にしがみついた。
「新出くぅん。
陣平くんがいじめるー!」
「おっ…お前なあ!」
「まだ飲むのー!
じんぺーのばーか!」
そうやってわがままを言うミコトに、俺は堪忍袋の尾がついに切れた。
「…いい加減にしろ!!!
昨日の夕方から寝てねぇんだよ俺は!
夜勤明けで昼間も働いて24時間以上起き続け、
やっっっと寝られると思ってベッドに倒れたときに呼び出されたんだぜ?!
俺の身にもなって見ろよ!」
ガーッといつもの調子で声を荒げた俺。
そんな俺の怒声に、ミコトはびくうっと身体を震わせた。
そして涙で潤んだ目で俺を見る。
「う…ごめんなしゃい…」
うる…と目を潤ませてそう謝られると、1秒で俺は許してしまう。
「だからまぁ、ほら。わかったなら、帰るぞ」
そう言ってまたミコトを抱き上げるために身体に触れようとしたとき、ミコトがパッと静止する。
「お前…帰るって言ってるだろ?」
「…わたしのこと、嫌いになった?」
ウルウルと目を潤ませながらそう聞かれ、俺は慌てて否定する。
「はあ?!ならねぇよ」
「ほんと?」
「あぁ。」
「好き?」
「…あぁ」
「ちゃんと目を見て好きって言って!!
そしたら帰るから!」
どうやら俺の彼女は一筋縄ではいかないらしい。