第21章 酔っ払った萩原妹 ☆
そんな俺に、ミコトの友人は少し申し訳なさそうに話した。
「それが、わたしが勧めたお酒を大量に飲んで、今お店で寝ちゃったんです。」
「…はぁ?」
「迎えにきてくれませんか?
さっきからずっと、陣平くん陣平くんって呼んでいて…」
正直、俺の身体は1ミリも動かねえ。
昨日の夕方から只今22時まで寝ずに働いていたせいで、眠気はマックス。
多分目を閉じれば1秒で寝られる。
けれど、ミコトが俺を呼んでいると聞けば話は別だ。
「どこで飲んでるんだよ」
「大学の最寄駅の近くの肉バルです!」
友人がそう言ったすぐ後、その後ろからミコトのふにゃふにゃした声が聞こえた。
「あぁー!アユ〜誰に電話してるのぉ?
それわたしの携帯でしょ〜」
「げ。起きた。」
その友人のたった一言で、この酔っ払いは相当その場でやらかしたんだとわかる。
連れて帰る時、謝らねぇとな…
すっかり保護者気分の俺は、受話器の向こうでミコトと友人が戯れる会話に耳を傾けた。
「アユ〜」
「もう!あんたの陣平くんに電話してんの!
連れて帰ってもらおうと思って」
「へ?!じんぺーくん???
貸して貸してー」
そう言いながら電話を取り上げたらしい音が聞こえてきて、ミコトの可愛い声が受話器から飛び込んできた。
「もしもしじんぺーくん??
ミコトだよお!」
「…相当酔ってるな」
「酔ってないもんー
ねぇ、じんぺーくんーわたしのこと好き?」
突然そんなことを聞いてくるミコト。
完全にキャラが崩壊している。
酒ってこえー。
こいつ、今この時間を明日絶対覚えてないだろ…