第20章 兄が愛した人 ☆
「え?萩原に彼女がいて凹んでたんじゃねぇの?」
「…どういうこと?」
「いや、わたしのお兄ちゃんに彼女なんて認めない!って思ってんのかと」
「そっ!そんなわけないでしょ!?
わたしはお兄ちゃんと違ってブラコンじゃないから!」
と、全否定するミコト。
そんなに否定すると、逆にあの世で萩原が泣いてそうだな…
「まあよくわかんねぇけど、俺はどこにも行かねえよ。
今もすぐ戻ってくっから、とりあえず離せ。な?」
「…約束?」
「ハイハイ。約束」
そう言ってぶっきらぼうに小指を絡めると、ミコトは渋々俺の腕を解放した。