第3章 死ぬということ
片付けが終わったのは、夜20時。
陣平くんは自分のアパートに帰り、わたしはお兄ちゃんのマンションに泊まることになった。
「明日土曜でよかった」
大学は休み。
お兄ちゃんは朝から仕事のようだから、一緒に起きて買い物でも行って家に帰ろうかな。
そう思いながらテレビを見ていると、お兄ちゃんがわたしの持ってたチャンネルを奪い、ピッとテレビを消した。
「見てたのに!」
「風呂入れー!」
「もう、これ見終わったら入るから!」
そう言ってリモコンを奪い返そうとするが、ひょいひょいとかわされ続ける。
「お兄ちゃんが先に入ってよ」
「じゃあお前、最後出る時ちゃんと掃除して出るのか?」
「…めんどくさい」
「それともにいちゃんと一緒に入るか?昔みたいに」
「は!??!入るわけないでしょ!
お兄ちゃんの変態!!」
そう言って、わたしはテレビを諦め、大人しくお風呂に入った。
思えば、兄の策略にまんまとハマってる。
いつもそうだ。
お兄ちゃんはなんでもわたしより一枚上手。
要領良くて、ずるいぐらい人に好かれるひと。
まあ、我が兄ながら、女の子にモテるのは何となくわかる。
マメだし、喜ぶことサラッと言えるし、基本怒らないし。
陣平くんとはまるで真逆で、そうなると陣平くんは女の子にはモテないってことになる。
そうだといいな…
モテないでほしい。
わたしだけが魅力をわかっていられたらいいのに。