第19章 ハッピーバースデー陣平くん ☆
松田side
朝の光が窓の隙間から差し込んで、眩しくて目を覚ました。
ぱち…と目を開けると、目の前にはミコトがすやすやと眠っているのが見えた。
朝起きて1番に視界に入るのが、俺の大事な彼女。
これが所謂幸せってやつなんだな。
誕生日の翌日の朝、こんなに幸せだったことがかつてあっただろうか。
嬉しくて、眠るミコトの頬をつんとつつくと、一瞬眉を顰めてミコトが寝言を言う。
「んも…じんぺくん…それお兄ちゃんのパンツだからあ…食べちゃだめ…」
「どんな夢見てんだよ…」
そうツッコミを入れた時、ミコトがぱち…と目を覚ました。
「おはよ」
「…ん…おはよお…
なんか、変な夢見た…」
「だろうな」
うーんと目を擦るミコトの頭をくしゃくしゃと撫でてやると、俺のもんって感じがして優越感に浸ることができる。
そしてだんだん頭が冴えてきたミコトは思い出したように声を上げた。
「あ!!陣平くんのお誕生日終わっちゃった!」
そう言うや否や、ベッドから飛び起きたミコトは、テーブルの上に置いていたグリーンのショップ袋を取ってまたベッドに戻ってきた。
「これ、誕生日プレゼント買ったの」
「俺に?」
それを受け取り、中に入っていた黒い箱にかけてあったリボンを解いて箱を開けると、シンプルな黒い折りたたみ財布が入っていた。
「おー!財布!
そろそろ変えようと思ってたんだよ」
「ん…あまり高いの買えなかったけど…」
そう言って少し申し訳なさそうにするミコト。
そんなこと、気にする必要ねぇのに。