第19章 ハッピーバースデー陣平くん ☆
俺はミコトの腕を引いて自分の方へ引き寄せた。
そして、頬にキスをするとミコトは驚いて俺を見る。
「一生使う」
「一生使ったらボロボロになっちゃうよ」
そう言ってミコトは片眉を下げてふふっと笑った。
「ボロボロにならねぇように大切に使うよ
サンキューな。ミコト。
お礼に何でも言うこと聞いてやるよ」
「お礼なんて!誕生日なんだから!
それにわたしの誕生日に陣平くんがたくさんサプライズしてくれたでしょ?」
「…じゃあ、もういっこプレゼントくれ」
「なに?…あんまり高いのは買えないけ…」
そう言いかけたミコトの頭に手を添え、強引に唇を奪った。
「んっ…」
「ミコト…」
チュ…ちゅっ…
何度も角度を変えて、啄むようにキスをした。
ミコトの触れ合えるのが俺にとって1番のプレゼントだから。
そしてゆっくり離して叩いた額をコツ…とくっつけ、目と目でじっと見つめ合うと、ドキドキと心臓が鼓動する。
いつの間に、こいつのことこんなに好きになってたんだ…
そう思った時
ぎゅるるるるる…
俺の腹の虫が盛大に鳴った。
その音を聞いて一瞬目を丸くしたミコトは、堪えきれずに爆笑する。
「…ふ。あははは!陣平くん腹ペコなの?」
「しゃーねぇだろ。
昨日帰ってきてすぐにお前と寝たんだから。
飯食ってねぇし」
「じゃあ、昨日食べるはずだった料理、食べよう?
今から準備するね。」
「頼む…」
お腹をさすりながら、はぁー…とため息をつく俺に、ミコトはぎゅっと抱きついて頬にキスをした。
「陣平くん。改めて、ハッピーバースデー」
こうして、同い年だったはずの俺は萩原より一つ年上になった。
世界で一番愛しい女の隣で。
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