第19章 ハッピーバースデー陣平くん ☆
「時計…は、やめておこうかな。
爆弾のタイマー見すぎてる人だし。
アクセサリー…つけてるところ見たことない。
あぁああ!!わかんない!!
陣平くんが欲しがりそうなの、ドライバーとかペンチとか、解体道具しか思い浮かばない!!」
うわぁああと頭をわしゃわしゃにしながら思い悩むわたしを見かねて、アユがアシストを出す。
「陣平さんが欲しいものじゃなくて、ミコトが陣平さんに上げたいものを選べばいいんじゃない?」
「陣平くんにあげたいものぉ?」
その発想はなかった。
陣平くんにあげたいものか…何だろう。
そういえばこの間、陣平くんとご飯を食べたときに陣平くんが出したお財布、かなり年季が入ってたな…
2時間も悩んで、今そんな重要なことを思い出すわたしは医学部のくせにバカらしい。
「財布にする!」
「2時間悩んだ意味よ…」
呆れながらもわたしの買い物に付き合ってくれるアユは昔から何も変わってない。
アルバイトをしていないわたしは、お小遣いを必死に貯めたお金で陣平くんへの誕生日プレゼントをゲットした。
医者をやっていた頃は、それなりにお給料も高いけど忙しくて使う暇がなく、口座にお金が貯まっていく一方だった。
けれど、必死にお金を貯めて陣平くんにプレゼントを変える今の方が100倍幸せだ。
明日は陣平くん仕事だから、おうちでケーキとご飯を手作りして待ってよっと。
無事にプレゼントも買えたし、幸先良すぎ?!
なんて、お気楽にスキップしながら家に帰ったわたし。
この時は、まさか当日、あんなことになるなんて思っても見なかったんだ。