第19章 ハッピーバースデー陣平くん ☆
夏が終わり涼しい風が吹き始めた頃、わたしはショッピングモールのメンズ館で2時間も長考していた。
「もー。ミコト。
プレゼントなんて早く決めちゃいなよー。
もう2時間経つよ?」
「だってー!男の人が欲しいものって全然ピンと来ないんだもん」
アユが呆れ顔でわたしを見ながら時計を見た。
そう。
明日は陣平くんの誕生日。
恋人同士になって初めて2人で過ごす大切な日をどうしても失敗したくないわたしは、プレゼント選びもそれはそれは慎重になる。
わたしのハタチの誕生日をあんなに素敵な1日にしてくれたんだもん。
わたしだって、陣平くんに喜んでもらいたい。
なんなら感動して泣いてもらいたいぐらいだ。
忘れられない、素敵な思い出にしたい…
そう思いながらショップを行ったり来たりしている。