第18章 わたしの知らない陣平くん ☆
何だよ…この可愛すぎる生き物…
とても萩原の妹には見えねえな。
自分の彼女になった途端、特別可愛く見える俺はそんなこと思った。
あの世で萩原が怒ってそうだ。
俺の妹だって!って。
「残念ながら、俺が髪を乾かしたって言ったのは元カノじゃねえーよ。」
「?違うの?
…まさか…セフレ?」
「お前は俺をどんな男だと思ってんだ…
ついでに、セフレなんて言葉覚えてんじゃねぇ。
一生使うなよ???」
「だって!髪乾かすなんて普通の関係じゃないでしょ?!」
そこまで言われると、本当のことますます言いづらくなるじゃねぇか…
そう思いつつも、このミコトの膨れっ面を元に戻すには、正直に言うしか無さそうだ。
「…お前の兄貴だよ」
「…え?お兄ちゃん?」
「高校の時、あいつと水鉄砲で撃ち合いしてびしょ濡れになった時に、ふざけてドライヤーし合ったんだよ。
だから元カノじゃねえの」
ほら、わかったか?
俺にはお前だけなんだよ。
そう言おうとしたが、ミコトの反応は思っていたのとは違った。
「…お兄ちゃんとドライヤーしあいっこ?!」
「待て。しあいっこなんて言うなよ。キショいだろ」
「しあいっこじゃん!
…ずるいお兄ちゃん…わたしよりも先に陣平くんとイチャイチャドライヤーしあいっこしたんだ…」
「おい。イチャイチャって言うな。」
「陣平ちゃん〜もっとちゃんと乾かさないと癖毛がひどくなるぜ〜?なんて言って陣平くんの髪乾かしたりしたんだ!お兄ちゃんは!!」
「何怒ってんだよ…」
そうは言ってもさすが妹。
今のセリフ、まんま萩原が言ってたぜ…
「どうせキスもエッチも手を繋いだのも、わたしが初めてじゃないもん。
わたしも陣平くんの初めて欲しいよ…」