第18章 わたしの知らない陣平くん ☆
そう言ってしゅんと下を向くミコト。
そんなミコトの髪を撫でて宥めながら言う。
「お前何にもわかってねぇな」
「なにが?」
「俺が誰かに好きって言ったのは、お前が初めてだ」
「…え?」
「それじゃ不満か?」
そう言うと、ミコトはぶんぶんと首を振った後、俺にぴゅーっと飛びついて来た。
「陣平くん好き!!」
なんて単純な奴なんだ…
そう呆れていると、単純なミコトはさらに単純なお願いをしてくる。
「じゃあ、たくさん好きって言って!」
「…好きだ。ミコト。」
「もっと!」
「…大好きだ!」
そう言って照れ隠しにぎゅーっと力一杯ミコトを抱き締めると、ミコトは嬉しそうに笑った。
「しょうがないな。許してあげる」
「…え?俺、怒られてたのか?」
「陣平くん、大好き…」
女心って言うのは、理解不能だ。
改めて萩原を尊敬するぜ…
そんなこと思いながら、俺は自分にくっついて離れないこの可愛くてワガママな姫の頭を撫でた。
俺のこれまでの人生の中で、まだ言ってない言葉は山ほどあるんだ。
それを全部、ミコトに初めて聞かせてやるよ。
楽しみにしてろよな。
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