第18章 わたしの知らない陣平くん ☆
松田side
ミコトを抱いた後、腕枕をしている間もずっとミコトは俺の身体に擦り寄ってくる。
「…俺、お前がいたらペットいらねぇわ」
「え?どう言う意味?」
犬よりも俺に忠実な気がして、俺は思わずミコトの頭を撫でた。
「んで?何で急に呼び捨てにしてぇとか言い出したんだよ」
「…だって。今日のお昼間に街であったあの子、元カノでしょ?」
「それが?」
あまりにもあっけらかんと認める俺を見て、ミコトはぶーーと頬を膨らませた。
「元カノが陣平って呼んでた!
ついでにお姉ちゃんも呼んでるし!
だからわたしも呼び捨てにしようと思ったけど陣平くんって呼ぶのが特別って言うからやめたの!」
「あぁそう。」
俺のこの悪びれもしない態度が気に入らないらしく、ミコトは相変わらず膨れっ面をしながら言う。
「それに、さっき他人の髪乾かしたの何年振りって言ってたし。
元カノの髪乾かしてたんでしょ」
「…なんだよ。オメー妬いてたのか?」
「妬くよ!妬くに決まってるでしょ?!
わたしがどれだけ陣平くんのこと好きだと思ってるの!?」
そう言ってまた俺を睨むミコト。