第18章 わたしの知らない陣平くん ☆
そう思うと、ムカムカと苛立ちが込み上げてきて、わたしは陣平くんがドライヤーしてくれているところから逃げるようにしてベッドに寝転がった。
「おい。まだ乾いてねぇぞ」
「…もう乾いた」
突然不機嫌になってふて寝をし出すわたしの肩を、陣平くんは呆れたように揺さぶる。
「ミコト。風邪ひくからちゃんと乾かせって」
「やーだ!」
陣平くんにとって、わたしは何番目かの彼女なんだ。
そう思うと途端に涙が込み上げてきた。
変なの。
陣平くんの彼女になれただけで、天にも昇る心地なほど嬉しかったのに。
こんな欲張りなヤキモチ、妬くなんておこがましい。
そう思うのに。
わたしの様子がおかしいことに気づいた陣平くんは、わたしの身体を力強く抱き上げ、じっと顔を覗き込んだ。
「…何で泣くんだよ」
「っ…」
困ったように陣平くんがわたしの涙を拭う。