第3章 死ぬということ
しばらくしてついたのは、小綺麗なマンション
「警察官って、給料いいの?」
真新しいマンションを見上げながらわたしはお兄ちゃんに聞いた。
だって、うちの実家は仕送りするほど余裕は無いし。
「給料良いワケないだろー?
ギリギリの生活よ」
「ならもっと相応の場所に住めばいいのに」
「まだまだお子様だな、ミコトは。
そんなイケてない場所に女の子を連れ込めないだろ?」
お兄ちゃんがウインクしてそう言うのを、わたしはジトーっと呆れた目で見る。
これはそのうち、アポ無しでお兄ちゃんの家に行ったら女の子と鉢合わせる。なんてことが起きそうだ。
「まぁなんでもいいや。
早く終わらせよ?2人しかいないんだし」
腕まくりをして、車のトランクから段ボールを持ち上げようとしたわたしに、お兄ちゃんがきょとんとして言う。
「いや?3人だよ」
「え?」
わたしが首を傾げた時、後ろから手が伸びてきてわたしが持ち上げようとした段ボールがひょいっと宙に浮いた。
かすかにタバコの匂いがするその人。
誰?お兄ちゃんの友達?
そう思いながら振り返ると、そこには陣平くんがいた。
「…じ、陣平くん。」
「久しぶり」