第17章 太陽と水着とたこやき
人混みの中から救急隊員が駆けつけ、男性をタンカーに乗せながら状況を関係者に聞いた。
どうやら、突然飛び込んできた他の子供から、自分の娘を守ろうとした時に、プールサイドに頭を打ち付けて溺れてしまったらしい。
「それで、応急処置を行ったのは?」
「わたしです。
水を大量に飲んで心停止していたので、心マとAEDで。
頭の傷の方は、多分大丈夫だと思いますが、念のために救急車の中で応急処置をお願いします。」
そう言って救急隊員に名乗り出たミコトが、よほど一般人に見えなかったんだろう。
そんなミコトに、救急隊員はこう聞いた。
「ありがとうございます!
医療従事者の方ですか?」
「東都大付属病院、外科のはぎわ…」
そこまで言ったミコトはハッとしたような顔をしたかと思えば、ゴホンッと咳をして一息ついた後
「東都大学医学部2年の萩原といいます」
と再度名乗った。
救急隊員は、あぁ!医者の卵でしたか!
なんて言っているが、俺が気になったのはそこじゃない。