第17章 太陽と水着とたこやき
松田side
やっぱりな。
俺がちょっと目を離すとすぐにこれだ。
ミコトに近づこうとする男を追い払うと、ミコトは呑気に「陣平くん、王子様みたい」なんて言いやがる。
頼むからもっと危機感を持ってくれよ。
そんなんじゃ、お前にGPSを仕込まねぇといけなくなるだろ…
と、警察官にあるまじきことを考えながらも、プールにはしゃぐミコトが可愛いのは事実。
昼飯を食い終わり、流れるプールでのんびりと満喫していると、だんだん日も暮れてきた。
「陣平くん、何時までいる?」
「あー。あと30分ぐらいで帰るか。」
「うん!今日ね、陣平くんち泊まってもいい?」
「俺は最初からそのつもりだった」
「陣平くんえっちー!」
お前が先に泊まりたいと言ってきたくせに何がえっちだよ!
とミコトをくすぐっていじめてやろうとした時、
キャーーー!
と、流れるプールの先にいた複数の客から突然悲鳴が上がった。
「なんだ…?」
「何かあったのかな?」
そう言って俺とミコトも悲鳴のした方へ視線を向けると、プールの上にぷか…と男が浮いている。
まさか、溺れたのか?!
「陣平くん!プールサイドに上げないと!」
俺とミコトは考えていることは同じなようだ。
咄嗟にその男を助けようと、バシャバシャと水をかき分け、その男の身体を掴み、プールサイドへと運んだ。