第17章 太陽と水着とたこやき
松田side
更衣室に置きっぱなしにしていた浮き輪を取って急いでミコトが待つパラソルの下へ戻った。
ミコトは俺を見つけると一目散に駆け寄ってきて、自分が着ていたパーカーを突然バッと脱いだ。
「おっ!おい!何脱いでんだよ」
慌ててそれを止めようとするがすでに遅く、俺が必死に守ろうとしていたミコトの水着姿はあっけなくさらけ出された。
けれどミコトの水着姿は、黒のフリルがついた可愛らしい水着で、露出度も控えめ。
もちろん可愛いに違いないが、エロい目で見る奴は減りそうだ…と、少し安心している自分がいる。
そんな俺とは対象的に、ミコトはギッと俺を睨みながらさっきまで自分が着ていたパーカーを、今度は俺に押し付けてくる。
「陣平くん!!裸でいるの禁止!!
これ着て!!」
「はあ?!」
プールに着たのに何言ってんだ?と、きっとこのパーカーを渡されたときにミコトが思ったことと全く同じことを思いながら俺はミコトを見た。
ミコトの意図が全くと言っていいほどわからないでいると、ミコトはむーっと顔を膨らせながら続ける。
「陣平くんの裸見てる人がいる!!
エッチな目で見てた!!」
「バァーカ。
男の裸みて喜ぶやつなんていねぇって」
「いるもん!!」
そう言ってミコトは、パーカーを着せた俺に突然ぎゅーっと抱きついてくる。