第16章 ある夏のはじまり
今日は出来ねぇのに。
出来ないと言われれば言われるほど、したくなる。
そんな天邪鬼な俺は、ミコトが眠っているのをいいことに、ゆっくりとミコトの素肌に手を滑らせ、直接柔らかい膨らみを揉んだ。
吸い付くような柔らかい肌が俺の手のひらからダイレクトに伝わってきて、思わず俺の息が荒くなる。
さっき、身体目当てで付き合っているわけじゃない。なんて言っておきながら、眠るミコトの身体を触ってる俺は最低なやつだ。
ダメだ。これ以上触ったら、マジで襲っちまう。
そう思い直し、パッとミコトの服の中から手を出して、我慢しようと自分に言い聞かせる。
そんなとき、追い打ちをかけるようにミコトから寝言が漏れた。
「じんぺ…く…
すき…」
その言葉を聞いて、ぎゅーんと胸が苦しくなった俺は、気付けばまたミコトの胸に手を添えた。
「んっ…」
そしてそれと同時にミコトから甘い吐息が漏れる。
眠っているのに、ちゃんと感じているみたいな声。
や…べ。
理性飛びそう…
俺はプルプルと首を横に振ると、また聖人モードに脳を切り替え、ミコトの胸から手を離す。
何やってんだ俺…
我慢しろよ…ミコトが体調悪い時ぐらい。
そう自分に言い聞かせながらも、手が勝手にミコトの身体に吸い寄せられていく。
そして俺はこの不純な葛藤を一晩中続けることになるのだった。