第16章 ある夏のはじまり
2人の間に流れる空気が、だんだん大人で妖美な雰囲気になってきて、ミコトは思わず俺に聞いた。
「しゃ、シャワーは?」
「浴びたい?」
「浴びたい!っ…だって、陣平くんに触れられるところは全部ピカピカにしておきたいもん」
そんなことを、頬を赤く染めて上目遣いで言われると、思わずときめいた俺ははぁー…っとため息をつきながら自分の顔を手で覆った。
「ほんっと…小悪魔だな」
「?」
「…一緒にシャワー浴びる?」
「無理!やだ!陣平くん先入ってよ!
わたしその間、洗い物とか全部片付けてるから!」
なんだ。ダメなのか。
少しだけ残念に思いながらも、顔を赤くして慌てふためくミコトが見れたからまあよしとするか。
ミコトと一緒に風呂に入るのは諦め、俺は言われた通り先にシャワーを浴びに脱衣所へ向かった。