• テキストサイズ

【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第16章 ある夏のはじまり




松田side


ミコトの料理はどれも全部美味い。

味付けがいいと言えばそうなんだが、それよりも愛情がたっぷり入っている味がする。

温かくて、安心する味が。


夕食を終えた俺は、ローテーブルの上を片付けるために立ち上がろうとしたミコトの腕を掴み、またすとんと座らせた。


そして、ミコトの腰あたりに両手を回すと、甘えるようにしてミコトの身体に抱きついた。


「陣平くん?」

「ミコト…頭撫でて」


いつもなら、なでなですんな。と言う俺が、まさかそんなこと言うとは思ってなかったらしく、ミコトは目を丸くして固まった。

そしてそのすぐ後に歓喜の声をあげる。


「かっ!かわいい!!陣平くん可愛いーー!」


可愛いを連呼されても、俺は反論する気にはなれず、いいから早く頭撫でろよ。なんて思いながらミコトの胸に顔を埋めた。


「よしよし。今日の陣平ちゃんはあまえんぼだね」

「…ミコトになら、甘えてもいいかって思ったんだよ。」


俺が唯一、弱いところを見せられる
甘えることのできる場所。

ミコトの細い指が俺の癖っ毛を繊細に撫でた。


「陣平くん。
わたしがいるから、大丈夫だよ」


そう言って髪を撫でるミコト。

何があったの?話して?とは一言も聞かず、ただ俺をひたすらに癒してくれる。


「…今日イライラしてたのは、異動願いが却下されたからなんだ」

「異動願い…?」

「特殊犯係への異動。
…萩を殺した爆弾犯を捕まえるために」


そう言うと、ミコトが俺の頭を撫でる動きがピクッと止まった。





/ 916ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp