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【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第16章 ある夏のはじまり




家に着くなり、陣平くんはわたしのことをさっきよりも強くぎゅっと抱きしめた。


まだ玄関で靴も脱いでないのに、陣平くんの腕の中に閉じ込められて身動きが取れない。


「どうしたの陣平くん…」

「ミコト…ごめんな」

「なにが?」

「お前が頑張って色々作ってくれたのに…
俺、仕事でイライラしてて」

「え?なんだ、そんなこと??」


まさか自分が全く気にしていないことを謝られたわたしは、思わず抱きしめてる陣平くんの腕から顔を上げて彼の顔を見た。


「料理なんて、温めて直せば食べられるんだし。
わたしは陣平くんと大学からスーパー寄って、この家まで一緒に来られただけで幸せだもん。
そりゃあ、せっかく久しぶりに会えたのになぁとは思ったけど…
何年も、会えないでいた時間を考えれば全然平気」


そう言って笑うと、陣平くんもつられて片眉を下げて笑った。


「俺の彼女が、ミコトでよかった」


そんな、嬉しすぎる言葉を屈託のない笑顔で言われると、心臓がきゅんと軋む。

わたしこそ、陣平くんの彼女になれて夢見たい。
わたしの好きになった人が陣平くんでよかった。

毎日そう思ってるよ。


「じゃあ食うか。腹減ったし」

「うん!温め直すね?」


そう言って冷蔵庫から作ったおかずを取り出すと、陣平くんがわたしの隣に立った。


「俺も手伝う」


ワンルームの狭いキッチンで、2人で夕食の準備をする。
そんな幸せな時間が確かに流れてた。


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