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【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第16章 ある夏のはじまり




新出くんの言う、悪いのは僕。の意味が全くわからず、わたしは首を傾げた。


「…僕は」


新出くんが何かを言おうとした時、通りの向こうからクラクションが鳴る音が聞こえた。


パッパァー


ふと音のした方を見ると、陣平くんの車がある。


「あ…じゃあ、行くね?」

「うん。また、明日」


新出くんが何を言いかけたのか気になりつつも、わたしは大急ぎで陣平くんの待つ車に向かった。


助手席のドアを開けると、陣平くんが開口一番わたしを叱る。


「こら。ちゃんと車来てないの確認しながら渡れよ。
危ねぇだろ」


片側一車線の道路。
横断歩道を渡るのを面倒くさがり、ついつい車道を渡ってしまったわたしは、ごもっともなお叱りにしゅんと下を向く。


「ごめん…陣平くんに早く会いたくて」

「…へぇ。その割には楽しそーに話してたじゃねえか。
あの王子と」


拗ねた口調でそう言うと、陣平くんは停車していた車を発進させた。

まさか、これって…

不機嫌そうな顔して運転する陣平くんに、わたしは少しだけ期待を込めて冗談っぽく聞いた。


「もしかして、ヤキモチ?」

「バカ。違うっつの」


そう言う陣平くんは、拗ねているというより超絶不機嫌そうな顔をしている。

やっぱり仕事でなにか合ったんだ。
そう察したわたしはそれ以上突っ込んで聞かなかった。


「悪いミコト。今日、ラーメン食い行こうって言ってたけど、家でもいいか?
ちょっと疲れ溜まってて…寝たい」

「うん。大丈夫!
じゃあ、スーパー寄ってくれる?
元気が出るご飯たくさん作るから!」


精一杯笑ってそう言ったけど、陣平くんの顔は曇ったままだ。
わたしが、陣平くんのすべてを癒やすことができたらいいのに。

ひたすらにそう思いながら、陣平くんの横顔を横目でチラチラ盗み見ていた。


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