第15章 メイド服を着たカノジョ ☆
そう思って前を向いた瞬間、新出くんの唇が奪ったのは、なんと陣平くんの唇。
「きゃ…きゃぁあー!!」
会場から謎の黄色い声援が飛び、わたしは自分の彼氏が男とキスをしている様をまじまじと見た。
「うわぁ…」
客席を見ると、降谷さんは陣平くんと新出くんのキスシーンをお腹を抱えて笑って見ている。
新出くんは放心状態。
陣平くんは新出くんから唇を離すと、司会者からマイクを奪い、大声で宣言する。
「ミコトの彼氏は俺なんだよ!バァカ!」
それだけ言うと、マイクをポイッと捨てて、わたしの手を引いてステージを降りた。
「じ、陣平くん?!ちょ…待って…」
陣平くんはわたしの腕を掴んだまま、ずんずんと会場を出ていく。
そして、キャンパスに設置されている水飲み場を見つけると、自分の口を水で洗い出した。
「おえ…最悪」
「じ、陣平くん…新出くんとキスしてたよ?」
恐る恐るそう言うと、陣平くんはわたしをキッと睨んで言う。
「言われなくても??
男とキスするなんて人生最大の汚点だぜ。
っち…腹立ってしょうがねぇ…」
目に見えて史上最大に怒り狂っている陣平くん。