第15章 メイド服を着たカノジョ ☆
まさか決勝戦まで来るとは…
クイズは事前に予習したこともあり、見事全問正解。
新出くんファン相手に、ファンブック本を出版できそうなぐらい新出くんのこと覚えたよ…
そしてビジュアル審査は、手を繋いで見つめ合うという、結構際どいミッションだったけど、新出くんがあっさりとわたしの手を繋ぎ、思わず彼を見ると見つめる形になったわたしたち。
その初々しさが良かったのか、またしてもトップ通過。
これは、ビュッフェ無料券も夢じゃない…?
そう思い始めた時、司会のアナウンスにわたしは思わず耳を疑った。
「では!最終審査はキス!
この大勢の前でキスできる勇気があるか?試されます!」
まさかのキス
さすがのわたしでもわかる。
キスはまずい。
そもそも彼氏じゃない人とこんな大会に出る時点で陣平くんの不機嫌は最高点なのに、キスはそれを余裕で飛び越えてる。
「ね、ねぇ新出くん…
わたし、キス…はさすがに…」
「そ、そうだな…
申し訳ないけど、ビュッフェ無料券は諦めよう…」
さすがに新出くんも嫌がる女の子に無理矢理キスするなんて無粋な真似は出来ず、わたしたちは司会にリタイア宣言をしようとした。
が、
「恥ずかしがらずに!ほら、彼氏くん!
彼女の唇を奪うのは今がチャンスですよ?」
そう言いながら、司会者は新出くんの身体をぐっとわたしの方へ押し出した。
「あっ…ちょっ…」
よろけた新出くんはわたしの身体に覆い被さる形で倒れ込んでくる。
やば…バランス崩してこのままじゃ
事故キス不可避なこの状況。
わたしは陣平くんごめん…とぎゅ…と目を瞑った。
その時、
誰かがわたしの腕を掴み、グッと身体を引き寄せた反動でわたしの身体は新出くんが倒れ込む場所からズレた。
誰?!