第15章 メイド服を着たカノジョ ☆
お題に対する回答が2人マッチしていたら得点。というもの。
「ま、どうせここまでだろうぜ。
所詮即席カップルなんだからよ!」
と、余裕をかましてパイプ椅子に背を預けて踏ん反り返っていると、そんな余裕は5分で消えた。
「第一問!彼の好きな食堂のメニューは?」
その問いに、ミコトもプリンスも
「親子丼」
と、ピッタリ回答一致。
「おお。やりますね」
隣で零が関心する声が聞こえてきたが、俺は苛立ちがピークに達する。
正解してんじゃねぇよ…
ステージ上を見ると、ミコトは相変わらず可愛らしい笑顔で
「良かったー!新出くん、いつも親子丼食べてるもんね」
「たまに一緒のテーブルで食べるから簡単だったな」
そんな親しげな会話を繰り広げている。
そしてその後に出題されたクイズも次々と正解。
なんなら、本物のカップルを抑えて正答率ナンバーワンに躍り出た。
「ありえねぇだろ」
「この短時間でお互いについて覚え切るとは…さすが医学部ですね」
「零!感心してる場合か!?
連れて帰るぞ」
「まあまあ。
次できっと落ちるだろうし、落ち着けよ。
焦りは最大のトラップだろ?」
「んなこと今言ってる場合かよ…」
俺がいつも言ってる口癖をそっくり返され、何も言えずに俺はまたすとんと椅子に腰掛けた。
「第二ラウンドは、ビジュアル審査です!
2人で手を繋いで見つめ合ってください。
絵になる2人を会場の皆さんの挙手で選定します!」
そんな司会のアナウンスを聞いて、俺の眉間にピキッと怒りが浮かぶ。
「手を繋ぐ…?」
その意味を理解するのに数秒かかった。