第15章 メイド服を着たカノジョ ☆
「コンテストでやるのは、お互いのことをどれだけわかってるかクイズ、見た目審査だから!」
「…わたし、正直新出くんのこと全然知らないよ?」
安請け合いしたらいいものの、これは優勝なんて無理じゃない?
だって、他の出場者には本物のカップルもいるんでしょ?
「大丈夫!コンテストまで2時間はあるから、それまでお互いのプロフィール覚えて!
医学部の脳なら簡単でしょ!」
「そんな無茶な」
無理な気しかしてないわたしとは対照的に、新出くんは余裕の笑みを繰り出す。
「まぁ、2時間で覚えられるところまで覚えよう?」
「そだね…えっとじゃあ、わたしの誕生日から…」
「あぁ。それは知ってる。12月12日だよね?」
「な!何で知ってるの!
え、じゃあ血液型…」
まさか自分の誕生日を当てられて、驚くわたしを見て笑いながら新出くんが言う。
「O型でしょ?」
「何で知ってるの!?」
血液型もピタリと当てられ、さらに驚きを隠せないわたしに、新出くんはわたしの目をじっと見ながら微笑んだ。
「どうしてだと思う?」
どうしてって…
他人の誕生日とか血液型とか覚えようするのって、その人に興味があるから…
もっとわかりやすい言葉で言うと、その人が好きだから…
そこまで考えた時、ハッとアユが言った
新出くんはミコトの事好き
と言う言葉が頭に浮かんだ。
完全に伏線回収じゃん…
なんて返したらいいかわからず、目を泳がせていると、新出くんは笑いながらわたしの髪を撫でた。
「そんなに困らないで?
じゃあ、今から2時間は君が僕のことを覚える時間になりそうだね」
「そ、そうですね…」
はあ…どうしよう!
これ、コンテストを陣平くんに見られたら大分面倒なことになるんじゃ…!?
はやくも手を挙げたことを後悔しつつも、やると言ったことを投げ出すのは嫌な性格もあり、わたしは大人しく2時間かけて新出くんの様々なプロフィールを暗記した。