第15章 メイド服を着たカノジョ ☆
「?なに?どうしたの?」
「2人にお願いがあるの!!
このカップルコンテスト、出てくれない?!」
唐突なこの打診に、ミコトは一瞬思考停止した後すぐにNOの返事をする。
「え!?わ、わたしと新出くん、カップルじゃないよ?」
「いいの!実際に付き合ってなくても、お似合いの2人を決めるコンテストだから!
優勝すると、帝国ホテルの朝食ビュッフェの券が、サークルの人数分もらえるの!
本当は、他の人が出る予定だったんだけど、風邪で来れなくなっちゃって…」
その言葉を聞いた時、カフェにいた同じサークルのメンバー全員が目の色を変えてこっちを見た。
「帝国ホテルのビュッフェ?!」
「タダってこと?!」
そしてわたしと新出くんにワッと集まって来てみんなから熱い眼差しを一斉に浴びる。
「いいじゃん!出なよー!」
「新出と萩原なら絶対優勝だって!」
そんなみんなのやり取りを見ながら、陣平くんは身体を震わせながらわたしたちを止めに入ろうとする。
「おい!待て!俺は許さねぇぞ!?」
「まぁまぁ。落ち着けよ、松田」
暴れる陣平くんを、降谷さんは面白そうに陣平くんを羽交い締めにして止めてる。
確かに陣平くんが怒るのも無理はない。
けど、わたしの脳内の天秤は、帝国ホテルの朝食ビュッフェと陣平くんのご機嫌を比較すると、僅差で朝食ビュッフェが勝ってしまった。
「出る!」
「はぁ!?!」
勢いよく手を挙げながらそう言うわたしを見て、サークルのメンバーはバンザイして喜び、陣平くんは隣でめちゃくちゃ怒ってる。
「だって、帝国ホテルの朝食ビュッフェだよ??
陣平くんも行きたいでしょ?」
「俺は朝はおにぎりに味噌汁だけで十分だ」
「まあまあ松田。
ただコンテストに出るだけだしそんなに目くじら立てるなよ」
さすが頼りになる降谷さんだ。
あははと笑いながら陣平くんを宥めてくれている。
「じゃあ、早速作戦会議しよう!!」
この話を持ちかけて来たサークルのメンバーがわたしと新出くんの手を取り、わたしたちは隣の講義室に連行された。