第2章 初恋のはなし
お兄ちゃんに手を引かれながら、わたしはポロポロと言葉をこぼす。
「…わたしっ…今日たくさんおしゃれしたの…」
「うんうん」
「なのにっ、陣平くんはお姉ちゃんばかり見てて、お兄ちゃんに可愛いなんて言われてもちっとも嬉しくないもん」
「…にいちゃん、傷つくなぁ」
「どうしてわたしは1番末っ子なの…
わたしも、お姉ちゃんになりたかった」
ウッ…ウッ…と泣きながら言うわたしを見て、ため息をつきながらお兄ちゃんが言う。
「ミコト、お前は俺の大事な妹だよ。
姉ちゃんとはまた違った魅力がたくさんあるんだよ。」
「だから!お兄ちゃんに気付いてもらっても意味ないの!」
「相変わらずにいちゃんに厳しいなぁ。ミコトは。
…でも、陣平ちゃんもそのうち気付くよ。
お前に思われ続けて、嫌な顔する男なんてこの世にいない」
お兄ちゃんが、珍しく真剣な顔してわたしを見ながら、涙を指で拭った。
「お前は俺の世界で1番可愛い妹だ」
高校2年になっても、わたしはお兄ちゃんに甘えて、胸の中でわんわん泣いた。
お兄ちゃんはいつだってわたしの味方だった。
何度も何度もわたしを助けてくれて、かっこよくて、言わなかったけど自慢のお兄ちゃんだって思ってたよ。
言えば良かった。
お兄ちゃんに、大好きだよって。
素直になれずに言えなかったから、神様に取り上げられちゃったのかな…