第2章 初恋のはなし
陣平くんの後ろ姿が切なくて、
そして陣平くんはやっぱりお姉ちゃんのこと好きなんだと初めて目の当たりにしたわたしは、その場で座り込んだ。
「っ…」
胸が苦しい。
一方通行すぎるこのわたしたちの恋は、この先どうなるの?
いつか、どちらも消えるの?
方向が変わることはあるの?
わたしはいつまで、陣平くんを恋しく思っていればいいの?
涙が出て次々と溢れて、わたしのしゃくりあげる声が、夜の海に響いた。
その時
「ミコト?何やってんだ?こんなところで」
わたしの肩を掴みながら、後ろから声がした。
振り返ると、心配そうな顔をしてわたしを覗き込むお兄ちゃんがいた。
「お…にいちゃ…」
泣きながらお兄ちゃんにしがみつくわたしを見て、浜辺で1人座ってる陣平くんに気付いたお兄ちゃん。
勘の良さはさすがだ。
なるほど、と一言言った後、泣いているわたしの手を取って、ゆっくりとその場を後にした。