第15章 メイド服を着たカノジョ ☆
「こんな格好でウロウロすんじゃねぇよ」
「だ、だって高級焼肉食べ放題券が!!」
「はあ?!」
意味のわからないことを言うミコトに思わずイライラをぶつけてしまう俺だが、ミコトからしたら俺の方が意味わからないだろう。
「そんなことより!陣平くん、何でいるの?!
今日仕事じゃないの?
…え、ていうか、降谷さんまで!」
「お久しぶりです。」
俺と零、どちらもまさかここにいるはずないと思っていたらしく、交互に見ては、ミコトは目を丸く見開いた。
「松田が、ミコトさんのアリスの格好がどうしても見たいって言うから」
「は!?言ってねぇだろ?」
ニコッと笑って言う零の悪い冗談を俺はちっとも笑えずに反論するが、ミコトは可愛い顔して俺をじっと見ながら聞いてくる。
「ほんと?陣平くん」
「…うるせぇな。零が余計なこと言いやがって」
そんな俺たちのやり取りを、プリンスチャーミングは隣で目を丸くして見ている。
さっき、俺がミコトに声をかける前、こいつはミコトのことじっと見つめながら何かを言おうとしていた。
警察官のカンってやつだが、こいつもしかしてミコトの事狙ってないか?
密かに敵対心を向けながら、その男をチラチラと見る。
そんな俺の思惑など知る由もないミコトは、俺と零にチラシを見せながら笑って言った。
「ねぇ、うちのサークルのカフェに来ない?
可愛い女の子、いっぱいいるよ!」
「オメー、キャバクラのキャッチみたいな事言うなよ…」
「なによー!陣平くんと降谷さんが来たらみんなきっと喜ぶよ!」
そう言いながら、俺たちの手を引いて、ミコトは自身が所属するサークルが運営するカフェへと向かった。