第15章 メイド服を着たカノジョ ☆
新出くんパワーは凄まじく、さっきからめちゃくちゃ女の子が釣れる。
「やっぱり、新出くんプリンスすぎる」
「ははっ。なにそれ。」
「まあでも、新出くんがモテるのも、わかる気がする。
カッコいいし、優しいもんね。
女の子が傷つくような事絶対言わなさそうだし。」
そう言って笑うと、新出くんは突然真剣な目でわたしを見ながら言った。
「…萩原さんも、そう思ってくれてる?」
「?そう思うって?」
「…カッコいいとか、優しいとか」
「そりゃあ思うよ?わたしだって普通の女の子の感性は持ってるよ!」
そこまで言って、しまった。と思った。
新出くん、ミコトのこと好きでしょ。
そう言ったアユの言葉が脳裏に浮かぶ。
そして、26歳のわたしに結婚を前提に付き合って欲しいと新出くんが申し出てきたことも。
これは、鈍感という大正義を振りかざして、相手を無意識に傷つけるあざとい女の典型例では?!
かと言って、ここから否定するのもおかしい話だしどうしよう…
そう思っていると、遠くからわたしを呼ぶ声が聞こえた。
「ミコト!」
この声…
わたしの大好きな陣平くんの声?!
まさか彼がいるはずないと思いながらも、声のした方を振り返ると、陣平くんがこちらに向かってズンズン歩いてくる。
そしてわたしが着てるアリスの衣装の上から、自分が着ていたジャケットを被せた。
なぜ彼がここにいるのか、どうして突然ジャケットを着せるのか何もわからないまま目を丸くして陣平くんを見ていた。