第15章 メイド服を着たカノジョ ☆
ガタンと持っていた箸を置いて、まるで娘に叱りつける父親のような気分になりながらミコトに言う。
「駄目だ」
「え?ダメって?」
「アリスじゃなくてピカ○ュウの着ぐるみでいいだろ」
「えー!?やだあ!そんな色気ないの」
「学祭に色気出してどうするんだよ!」
真剣にミコトの目をじっと見ながらそう諭すが、ミコトには響いていないらしい。
「もう。陣平くんは考えが古いんだよ。」
なんて笑いながら、洗濯を回そうと脱衣所の方へ向かった。
いや…冗談だろ?
俺がいないところで、そんなエロい格好して他の男に接客するのか?!
クッソ…
どうして来週土曜、仕事なんだよ…
そう思っていると、俺の携帯が鳴った。
「松田?」
「はい」
かけてきたのは俺の上司だ。
「来週の日曜、お前非番だよな?
すまないが、土曜日と変わってくれないか?」
「…え!!!」
まさかのこのタイミングでの打診に俺は思わず大きな声で聞き返すと、上司は勘違いしたのか残念そうに言う。
「やっぱり急すぎて無理か」
「いや!!まっったく問題ないっす。
むしろ、ありがてぇっす!!」
「??そうか?じゃあ、そういうことで」
思わぬミラクルで、土曜日の休みを勝ち取った俺は、ミコトの学祭の偵察に行くことに決めた。
もちろん、ミコトには内緒で。