第14章 桜の木の下で ☆
夕食を終え、お風呂を済ませるとふたりでテレビを見ながらゴロゴロする。
こんな何でもない時間が、ものすごく愛しく感じる瞬間でもある。
「お前、ほんとズボン履かねえな」
ブカブカの陣平くんのスウェットは上だけで膝まで覆ってくれるから、ズボンを履かないのはもう恒例だ。
「だって、陣平くんのサイズ、おっきいんだもん。
ほら、袖だってこんなに余ってる」
そう言いながら、腕から余った袖を陣平くんに見せると、突然陣平くんがわたしの身体を抱きしめた。
「?!えっ…陣平くん??」
「いや、お前ちっせぇからな」
そう言いながら、抱きしめたわたしの身体の小ささを再確認する彼。
ちっせえって、まだ妹見たいって思ってる?
そう思うと面白く無くて、つい陣平くんをじっと睨んだ。
「なんで睨むんだよ」
「…ちっちゃくないもん。
大人の女だよ。わたし。」
そう言って陣平くんを見つめると、フッと口角を上げた彼はわたしの片頬を手のひらで包みながら優しく言った。
「俺が1番よく知ってるだろ」
そして、わたしの唇にゆっくりと唇を重ねた。
ちゅ…
一度目は触れるだけのキス。
離して今度は陣平くんがわたしを見つめながら言う。
「機嫌治った?」
「…なおんない。
ちゃんと、最後までして…
妹じゃないって証明して」
「ワガママな彼女だな」
陣平くんはそう優しく言いながら、またわたしの唇を奪った。
心地いいキスに酔いしれていると、ゆっくりと陣平くんの舌がわたしの口内に侵入した。