第14章 桜の木の下で ☆
硬いものなんか入れてねぇのに、ミコトが噛むたびボリボリと音がする。
100%、誰がどうみても不味いくせに、ミコトは嬉しそうに俺に
「おいしい!」
そう言った。
「嘘つけ。」
「ほんとだよ!今まで食べたチャーハンの中で一番美味しいよ?」
「なら貸してみろよ」
そう言ってミコトからスプーンを奪い、自分の口に運ぶと、この世のものとは思えない不味い味がした。
「っ!!ほら!やっぱり不味いじゃねぇか!」
「でもわたしは美味しいの」
もう何を言っても美味しいと言って譲らないミコト。
こういうところが末っ子気質なんだろうか。
俺は不味いと反論するのは諦めてミコトの頭を撫でながら言った。
「今度、お前が料理教えてくれよ。
リベンジするから。
今日は諦めて前のコンビニに買いに行こう」
「えー…わたしはこれでいいのに」
「だ め だ。
言うことを聞かないと一緒に寝てやらねぇぞ」
「陣平くん、お兄ちゃんみたい」
ぶーっと口を尖らせるミコトを、もう少しも妹みたいだと思えなくなったな…
どこをどう見ても、俺の可愛い彼女だ。
そう思いながら、俺はコンビニに行こうとミコトの手を引いた。
ミコトは嬉しそうに俺の手を握り返して一緒に家を出た。