第14章 桜の木の下で ☆
「俺が守ってやりたいと思ったのは、ミコトだけ。」
陣平くんがそう言ってくれた瞬間、わたしの目から涙が溢れた。
そんな風に思ってくれてたの?
それは、前も同じだった?
陣平くんが亡くなる前日に、お前に話があると言っていたのは、わたしにその言葉をくれようとしてたりした?
確実にそうとは言えない。
けれど、もしかしたらあの時、わたしと陣平くんの気持ちはちゃんと通じ合っていたんじゃないか。
そう思うと、嬉しさと同時に陣平くんがいなくなり2人の未来が失われた絶望感。
二つの涙が流れた。
陣平くんはわたしを宥めるようにキスをした後、わたしが作ったお弁当をぺろりと綺麗に完食した。
わたしは桜の写真を撮るふりして、陣平くんが桜を見上げる横顔をガラケーのカメラで撮影した。
スマホだともう少し綺麗に撮れるのにな…
なんて思ったけれど、仕方ない。
わたしは、この時代で陣平くんと生きていく。
未来には戻りたくないんだから。