第13章 ニューイヤー ☆
「陣平くんも買えばよかったのにー!
おいしいよ?いちご」
左手は陣平くんの手、右手はイチゴ飴を持ち、ご満悦のわたしを見て、陣平くんは意地悪に笑いながら言った。
「いらねぇよ。
…ミコトから貰うから」
「え…?」
どう言うこと?と聞き返そうとした時、陣平くんはわたしの頭を手で支えながら、飴を口に含んだわたしを上に向かせ、食べるようにわたしの唇を奪った。
「んっ…」
驚いて身体をビクッと震わせた時、陣平くんの舌がいつの間にかわたしの口内にあって、中にあるイチゴ飴をくちゅ…と舐めた。
「んぁ…っ…」
飴と一緒にわたしの舌も陣平くんの舌に絡め取られ、思わず吐息を漏らしながら、それでも彼がくれるこの極上の甘い幸せを必死に受け入れた。
カラ…カラ…と、口内で飴が行ったり来たりするのを追いかけながら陣平くんの背中に手を回すと、陣平くんもゆっくりとわたしの身体を抱きしめながらさらに深い口づけを交わす。
「ん…っ。じんぺ…」
「…甘いな…」
上手く話せないわたしと違い、陣平くんは余裕の笑みを浮かべてる。
くやしい。けれどわたしは今も昔も変わらずずっと、陣平くんの虜だ。
気付けば飴溶けて無くなっていて、陣平くんの唇がゆっくりわたしから離れた。
もっとキスしてたい。
懲りずにそんなこと思ってた自分を見透かされたくなくて、わたしはワザと陣平くんに怒った。
「もう…道端でこんなエッチなキスしないでよ」
「深夜だからみんな寝てるって。
嬉しかったくせに」
悪びれもせずそう言われると、わたしはそれ以上怒らなくて、思わず本心を漏らす。
「嬉しすぎて死にそうだった!」
「お前は、ツンデレのデレしかない女だな。」
陣平くんは、やれやれ。と言いながらまたわたしの手を握った。
そんな相変わらずのやり取りをしながら、わたしたちは手を繋いで陣平くんのアパートへと向かった。