第2章 初恋のはなし
夕方は浜辺で簡単なBBQをして、花火をした。
線香花火、願い事をしながら最後まで落ちずに残っていた人は、その願いが叶う。
なんて、何の信憑性もない競争が始まった。
わたしは花火を見ながら何度も願った。
陣平くんの彼女になりたい
だけど、一番最初に落ちたのはわたしの線香花火。
ああやっぱり、叶う兆しすら見えない。
おまじないですら、叶わないって言ってるんだから。
思った以上に落ち込んだわたしはしょんぼりと下を見た。
隣にいたの陣平くんがそれに気付いて
「ん」
と自分の持っていた線香花火をわたしにくれる。
「これ、陣平くんのだよ」
「ミコトにやる。
願い事、叶うと良いな」
初めて会った時の屈託のない笑顔。
その笑顔のまんまで笑って、陣平くんがわたしの頭をくしゃ…と撫でた。
わたしの願いが叶うかどうかは、陣平くん次第なんだけどな…
そう思いながら、わたしは陣平くんから貰った線香花火を持って、また念を込める。
そして最後まで残っていたのは、陣平くんから引き継いだその線香花火だった。
陣平くんは、何をお願いしたんだろう。
きっと願いが叶うのは、わたしじゃなくて陣平くんの方だね。
「よーし、じゃあ花火も終わったし、寝るか!」
お姉ちゃんがバケツを片付けながらそう言い、わたしたちは男子と女子で別れてテントの中に入った。