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【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第13章 ニューイヤー ☆




「今年は、色々あったな」


境内の石灯籠の端に腰掛けて、2人で寄り添ってカウントダウンを待っていると、ぽつりと、陣平くんが呟いた。


「そうだね…」

「萩がいなくなったことと、お前と付き合えたこと。
両極端だけど、俺にとってはトップツーの出来事」


そう言いながら、フッと笑う陣平くんが愛しくて、わたしは思わず彼の腕にぎゅっとしがみついた。


「わたしも、陣平くんと同じ気持ちだよ」


陣平くんが今何を考えていたのか、わかる。

お兄ちゃんを失った喪失感と、もがき苦しみながら掴んだ一握りの幸福感。

そのどちらも、決して忘れてはいけない大切な感情だ。

わたしと陣平くんはそれが分かり合える。
陣平くんがお兄ちゃんを想うとき、わたしも一緒に祈りを捧げることができる。
それだけで、怖いものなんてなかった。


「ま、来年もよろしく頼むわ。」


「もちろん!あ!あと…10分だよ!」


陣平くんの発言にハッとしたわたしは時計を確認すると、あと10分で年越しだ。


しばらくすると、神社でもカウントダウンが始まり、人々は新しい年に期待と喜びで胸を膨らませている。

3


2


1


ハッピーニューイヤー

そう周りが騒ぐ中、それと同時に陣平くんがわたしの唇を奪った。


わたしも陣平くんも、あけましておめでとうは言えないから、悲しい気持ちにならないよう、キスで新年を迎えてくれた。

陣平くんの、優しさが詰まったキスだった。
そして、ちゃんとわたしの身体は新年を迎えた今も、ここにある。


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