第12章 大人の階段 ☆
コース料理の後、お店が出してくれたハッピーバースデーのケーキを平らげ、わたしたちは手を繋いで部屋に戻るためにエレベーターを待っている。
「お腹いっぱいだし、ちょっと眠い…」
思えば久しぶりのアルコール。
それに前菜からデザートまでガッツリ食べたのも久しぶりだった。
陣平くんの腕にしがみつきながら、うっ…と口元を抑えると、陣平くんは呆れながらわたしの肩を抱いた。
「シャンパンやらワインやら、飲み過ぎだ。
ハタチ開幕からハイペースすぎだって。」
「うう…部屋に着いたらすぐに寝るね?
さっきシャワーも浴びたし」
「はいはい。」
陣平くんに繋いだ手を引かれ、エレベーターを降りると、わたしの腰に手を添えながら陣平くんが部屋の鍵を開けてくれた。
眠い目を擦りながら、わたしはとぼとぼと洗面台に向かう。
「メイク落として歯磨きだけしてくるぅ」
「吐くなよー」
ついでにもうパジャマに着替えてしまおう。
もう寝る気満々のわたしはメイクを落とし、歯磨きをした後、部屋に備え付けられていたナイトウェアに着替えて、陣平くんが待つ寝室へと戻った。