第11章 ハタチになる日
「陣平くーん…
あの…なんか、わたしのじゃない服が脱衣所にかかってるんだけど…」
と、ミコトが俺に声をかけてきた。
こいつ…正気か?!
俺のサプライズが下手なのは認める。
けれど、ここまで鈍感なのもどうなんだ?!
医学部なのか本当に!?
そう思いながら、観念して、それはお前のだからと返事をすると、ミコトはわたしのじゃないよ?と言い返してくる。
ぷつ…
と、俺の中で何かが切れた音がして、思わず早口かつ大声でミコトに捲し立てる俺。
「…あぁあ!もう!!
お前、今日誕生日だろ!?」
「…え?」
「飯食うまで内緒にしようと思ってたのに、お前鈍いうえに、どうして?なんで?って子供か!?
っていうか、頭良いんだから察しろよ!!」
そんな俺の怒涛の口撃にミコトはぽかんと口を開けている。
あぁ…終わった。
俺のサプライズ計画はあっさりとチリになった。
ミコトが誕生日なの、知ってたの?
と聞いてくるのにも、俺はふいっと顔を背けたままそう言ってんだろ。なんて、ぶっきらぼうな返事をする。
こんなはずじゃなかったのに。
そう思いつつも、出した刀を鞘に収める方法の知らない俺は、膨れっ面を突き通す。
「誕生日だから、この服も買ってくれたの?」
「…だから、そう言ってるだろ?
お前のために俺が買ったんだから、それはお前のなんだよ!わかったか?バカ!」
あぁ、どうして俺はそう言いすぎるんだ。
言葉が思ったそのまんま出てきやがる…