第11章 ハタチになる日
即座に後悔していると、ミコトがじわっと涙を浮かべながら俺を見た。
「っ…バカだもん…!」
「…って、泣くのかよ。
んっとにしょーがねぇやつだな」
そんなこと言いながら、泣かせてしまった…と内心ショックを受ける俺は、慰めるためにミコトの身体をぎゅっと抱きしめた。
泣くなよ…お前の誕生日なのに…
そう思いながら髪を撫でていると、ミコトはよくわからないことを涙ながらに言う。
「今日、会えないって思ってた。
会えなくてもよかったの。
だって、陣平くんの彼女になれただけで幸せだから。
これ以上幸せになったら怖くて…全部無かったことになりそうで怖かった。
っでも、嬉しい…怖いけど嬉しいよ…」
「…何を言ってるのかさっぱりわからねぇけど。
無かったことになんかならねぇから。
本当は飯食う時にサプライズしようと思ってたのに、計画が台無しだぜ」
「ご、ごめん…」
そう言って、しゅんと俯くミコトを、俺はゆっくり自分の身体から離した。
そして視線が重なったあと、ミコトの唇にキスをした。
「…ミコト。
誕生日、おめでとう。
ハタチの誕生日を、俺に祝わせてくれてサンキューな。」
そうだ。
ミコトが大人になる瞬間を、隣で祝うことができる。
それがこの上なく嬉しい。
「っ…うぅ〜〜〜」
「だから、泣くなって」
「陣平くん、大好きぃ…っ」
「知ってるって。バァカ」
この困った甘えん坊のお姫様を、俺はまた力一杯抱きしめた。
ハタチの誕生日、おめでとう。
世界で一番愛しい、俺の彼女。
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お誕生日デートは次の章でまだまだ続きます♡