第11章 ハタチになる日
陣平くんに手を引かれるがまま、ホテルにチェックインを済ませると、連れて行かれたのは20階の客室。
わたしが想像していた5倍は広いお部屋だった。
「すごーい!窓から東都タワーが見える!」
「ほら、シャワー浴びんだろ。早くしろよ。
腹減って仕方ねぇ」
「ハイ…」
お腹が空いて不機嫌そうな陣平くんにどやされ、わたしは言われるがままバスルームに入った。
アユがくれた誕生日プレゼントにブラショーツセット入っててよかった…!
と、呑気に思いながら豪華なバスルームで、高級そうなボディーソープを使って自分の身体を洗った。
それにしても、警察官ってこんなに豪華な部屋に泊まれるの?!
税金の使い道間違ってないー?
なんて、その恩恵を今存分に受けていることを棚に上げながら、わたしはこれまた高級そうなシャンプーを手に取り、鼻歌を歌いながら髪を洗っていく。
ホルマリン臭から、全身フローラルな香りに様変わりしたわたしは上機嫌でバスタオルを身体に巻き、脱衣所へ続くバスルームのドアに手をかけた。
そしてわたしはハッと今日の服装が高級レストランに相応しくないことを思い出す。
「そうだ…結局デニムじゃん!」
やっぱりラーメンにしよう?って陣平くんに言おう…
なんならココイチでも吉野家でもいい…
デニムで行ける場所ならどこでも。