第11章 ハタチになる日
「じゃあね!
そのラブラブセット、彼氏の反応のメール、楽しみに待ってるから♡」
「使わないってば!!」
正門のところでバスに乗るアユを見送り、わたしは駅に向かおうと歩道を歩き出した。
ラブラブセットって…
こんなの着たら陣平くん目飛び出るんじゃない??
そして即座に服を着せてきそう。
そんな尻軽女みたいなカッコしてんじゃねぇよ!とか言って。
陣平くんの反応を見てみたいような、でもあれを着るのはハードルが高すぎる。
と、わたしの中で天使と悪魔が戦いながら、とぼとぼと駅までの道を歩いた。
そしてしばらく歩いた後遠くの方に駅が見えて、改札のすぐ近くにある人物を見つけた。
一瞬見間違いか?と思い、自分の目をゴシゴシ擦って、またそっちの方を見てみるけれど見間違いじゃない。
紛れもなく、陣平くんが立っている。
黒のスーツにサングラス。
どうやら仕事終わりみたいで、仕切りに手元の腕時計を確認していた。