第10章 愛してるなんて ☆
「おじゃまします…」
陣平くんの家に着いた。
靴を脱いで部屋に上がると、陣平くんがベビーピンクのマグカップにココアを入れてくれた。
「ほら。飲めよ」
「ありがと。
ピンクなんて、陣平くんに似合わないね」
ふっと笑ってそれを受け取ると、陣平くんは黒いマグに入れたココアを飲みながらわたしに言った。
「ばーか。それは俺のじゃなくてお前のマグ。」
「え…?わたしの?」
「そ。ミコト専用のマグカップ」
そう言われて、わたしは自分が持ってるマグカップをまじまじと見た。
「陣平くんが選んでくれたの?」
「まぁな。お前はこの色のイメージだったから」
「…陣平くんがベビーピンクのマグカップ買うところ、想像したらちょっと面白いね」
「…なんだよ。悪ぃのかよ」
陣平くんがちょっと顔を赤くして照れてそう言うから、わたしは思わず笑ってしまった。
そんなわたしを見て、陣平くんは優しい目を向けながら言う。
「ミコトは、笑ってる方がいい」
そんなこと言いながら、わたしの髪を撫でて、こうやってまた大好きにさせて、4年後にはいなくなるの?
わたしは陣平くんの両頬に手を添えて、奪うように唇を重ねた。
数秒口付けたあと、ゆっくり離すと陣平くんが目を丸くしてわたしを見た。
「ミコト…?」
「どこにもいかないで…」
そう言いながらぎゅっと彼にしがみつくと、わたしの髪を撫でながら優しい声で言った。
「だから、行かねぇって…」
今度は陣平くんの掌がわたしの片頬を包んで、食べるように唇を重ねた。
「んっ…」
何度も角度を変えながらキスをして、そのうち舌が絡んだ濃厚なディープキスに変わっていく。
ちゅく…
陣平くんの舌がわたしの舌に絡むたび、卑猥な水音がした。