第10章 愛してるなんて ☆
「ねぇ、陣平くんどれにする?」
「一番デカいの」
「じゃあわたしはチーズバーガーにしよっと」
そんなやり取りをして注文したハンバーガーをトレーに乗せ、空いてる席を見つけてそこに座った。
「一番大きいの、本当に大きいね」
マクドナルドのビッグマックよりも大きいハンバーガーを見て目を丸くするわたしをよそに、陣平くんは美味しそうにかぶりついてる。
「オメーはそんなちっせぇハンバーガーで足りるのか?」
「んー。いつも腹八分目が癖になってるんだよね。」
「そういや、昔から少食だったな。ミコトは」
「昔は、わざとセーブしてたの
陣平くんに好きになってもらうために可愛くなりたかったから」
それで気付いたら大人になった今も腹八分目しか食べない習慣が身についてた。
陣平くんはわたしにずいっとポテトを差し出しながら言う。
「もうそれ、叶ったんだから食えよ」
「え?」
「だから、俺はお前のこと好きなんだから、我慢する必要ねぇだろ。」
別に、無理して我慢してるわけじゃないんだけど…
そう思いながらも、陣平くんがそんな風に言ってくれるのが嬉しくて、わたしは笑いながらポテトをとった。
「ありがと。世界一美味しいポテトだね」
「大袈裟」
2人で笑い合うと、幸せがまた込み上げてくる。
本当に、このままずっとこんな時間が続けばいい。
11月7日なんて、来ないで欲しい。
陣平くんだけは救いたい。
救えるように、わたしに出来ることを考えなきゃ。
そう強く思いながら、陣平くんの笑顔を数えてた。
もう二度と見失わないように。