第10章 愛してるなんて ☆
「おおおお!おめでとうミコト!!!」
「わ!ちょ、大袈裟だよ!」
「いや、あんたが昔からずっと陣平のこと好きなの知ってるからさ!
…研二も、喜んでると思うぜ?」
「だといいけど…」
そう言って笑うと、姉はとても優しい顔で微笑みながら、一緒に鏡を覗いて言う。
「ミコトは陣平にはもったいないぐらい良い女だよ。
なんてったって、私と研二の妹なんだから」
「もう、お姉ちゃん…」
「この格好、きっと陣平はイチコロだ!
どんな反応していたか、また教えてくれよな」
姉はわたしの鼻先をツンとつついて笑ったあと、上機嫌にわたしの部屋を出て行った。
お姉ちゃんは相変わらずだ。
そして同時に思った。
陣平くんは、お姉ちゃんのこともういいのかな…?
少なくともわたしが高2のころまではお姉ちゃんのこと好きだったはずなんだけど、いつからわたしのこと、恋愛対象として見てくれるようになったんだろ…
もしお姉ちゃんが、陣平くんのこと好きになったら、とられちゃうのかな…
ふと嫌な想像をしてしまい、フルフルと首を横に振って邪念を振り払った。
そして、お姉ちゃんに選んでもらった服を着て、髪を巻いていつもより時間を使って丁寧にメイクをすると、トロピカルランドへと向かった。
11月7日とおんなじように。