第10章 愛してるなんて ☆
うっかりこのまま陣平くんのペースに乗せられそうになった自分をよく制御できたと思う。
突然大きな声を出され、さすがに目を覚ました陣平くんは、ガシガシと自分の頭を掻きながらあくびをした。
「っふぁー…なんだよ…ウルセェな」
「陣平くん!遅刻だから!!」
「……うおっ!やっべぇ!!」
自分の部屋の時計が指してる時刻を見ると、光の速さでベッドから出た陣平くんは即座に洗面所に向かった。
もう…寝ぼけながらあんなことするの勘弁して欲しい…
はぁっとため息をついたとき、ベッドに転がった自分の携帯が目に入った。
や、やば!
新出くんと繋がりっぱなしだ!!
慌てて携帯を拾い上げ、電話の向こうの新出くんにその場で土下座をしながら話しかける。
「新出くん!2限から行くから!
起こしてくれてありがと!!!」
「…うん。じゃあ、また学校で」
そう言って新出くんは電話を切った。
絶対さっきの聞かれてたよね?!
わたしから漏れた吐息混じりの声とか、陣平くんの 昨日の続きする? なんて挑発的な言葉とか。
と言うかむしろ、朝起きて隣に男がいると言う生々しい実態がバレたことに、恥ずかしさでベッドの中に潜り込んだ。
「あぁあぁ」
2限で顔合わせるの気まずいな…
頭を抱えてそう思うわたしをよそに、何も知らない陣平くんが洗面所から戻ってきた。